我が家の息子(2歳5ヶ月)は黄金筋肉とかいう番組の1コーナーであるSASUKEが大好きである。
これはまあ,巨大で尚かつ非常にレベルの高いアスレチックみたいなもので,自衛隊で鍛えられているはずの隊員なんかでもちょっとやそっとではクリアできない。
実際にまだ最後までクリアできたのは一人だか二人だからしい。仕事リストラされてもアルバイトしながら挑戦するとか,自分の家に同じようなセットを作って練習したりと,「そこまでやるか?」っていう代物なのだ。
内容はともかく息子はそれが大好きで,番組が終わった後も見たがってしかたないから,ビデオに録ってしばらくは見せていた。
ところが,あまりにビデオを酷使した為か,デッキが壊れてしまった。
その時の我々夫婦のうろたえぶりというか困惑ぶりはなかなかのものだった。
なにしろ一日2,3時間は同じ番組を繰り返し見ていてるのである。それが見られないとなったら息子はたぶん泣きわめくであろうことが予測されるのだ。それは困る。
ハードディスクレコーダーなるものを購入しようと即決したのである。
そんなわけでそれほどお金に余裕もない我が家ではあるにも関わらずハードディスクレコーダーがやってきた。
しばらくは息子が好きな番組である黄金筋肉やデカレンジャーなんてものを録画しては幾度も再生し,その便利さに我々夫婦は感心していた。何度見せても画質は悪くならないし,早送りや決まったポイントへの移動も簡単だ。これはけっこう大事なことで,息子の要求する場面にいかに素早くアクセスするかがご機嫌を維持するには必要とされるスキルなのである。
そして段々使い方にも慣れてくると「まあちょっと見てみたいかなあ」という番組をとりあえず録画するようになる。
で,見たり見なかったりする。何週分かまとめて見て消しちゃったりもする。
そうこうしているうちにテレビに対する考え方が明らかに変わってくる。
どんな番組であろうと「別に今見なくてもいいし,いつでも見られるよなあ」と思うようになった。
生放送の番組でもそうでなくても,とにかく「今見なくてもいい」という気持ちになっていく。
子どもの頃はしっかり新聞のテレビ欄を見て,その時間に合わせて食事したりお風呂に入ったり宿題したりしていた。
ビデオが普及して「どうしても見たい」番組とか「どうしても録画しておきたい」番組を録画するようになる。
それでもテレビの時間というのは決まっていたように思う。
それが今ではその時間帯にその番組は放映してはいるが,その時間には別に見なくてもいい。
見たい時に見ればいいのだ。
新しい製品が出てきて,何か生活が変わって来てしまうというのは,あのウォークマンに次ぐのではないだろうか?
と,F1イギリスグランプリを録画しつつ,それを見ないでこの文章を書きつつ思うのであった。
コメント